特に意味は無い

よしなしごと

先輩の話

先に言っとくけどオチはない。



大学2年の頃物凄く好きな先輩がいた。

2つ上の綺麗で頭も良い先輩で、先輩と付き合いたくて色んなことをした。



先輩の同期を誘って複数で遊びを企画したり、猫好きの先輩に合わせて本当はあんまり興味のない猫カフェを調べまくったり自分でもわかる過去問を先輩に教えて貰ったり。

数え切れないほどいろんな手を打ってようやくデートする機会ができた。



ただまあなんともあっけないもので一瞬でデートは終わった。正確には終わったというよりも始まりすらしなかった。集合して2人でスタバに寄って赤レンガ倉庫に歩き始めた時に何気ない顔で「これ別にデートじゃないよ」と言われてデートが終了した。



「自意識過剰ですね。」なんて言ってそのまま歩き続けた。その日はすごく楽しかったし先輩も楽しんでくれたんじゃないかなと思う。告白なんてもちろん出来ず、用意してたプレゼントを就職祝いだと言って渡した。



先輩と別れたあと1人で泣いた。高嶺の花子さんがBGMだった。

1年くらい引きずって、その後は反動だったのかひどく遊び回るようになった。1年単位くらいでコロコロ別人みたいな生活に変わってたのは今思い返すと少し面白い。



遊び回ってた時期も色々な人と会って楽しく過ごしてたけど彼女らはいつの間にかどこかへと消えた。連絡先は多分探せば出てくるだろうけどきっと既読は付かないし特に探す気もない。何を話してたかも何を話せばいいのかもよくわからない。



1年くらい前、先輩が結婚したと風の噂で聞いた。旦那さんは先輩が入社した総合商社の上司で、すごく優秀な格好の良い人らしい。特に思うところもなくて何となく先輩の顔を思い出した。きっとあとしばらくで消えた彼女らと同じく消えていくんだろう。



そんな話をふと思い出して、あんまり消えてねえなあとぼんやり思った。